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スペインのワイン 「王様の涙」 |
なつかしいワインに再会した。もうどこにも売ってないのかと思っていたら、意外にも最寄の駅のジャスコの中の酒屋さんにあったのだ。嬉しい!
今からもう15年ほど前、シャシャンク(サナギの父親)と京都のグリーンピース(外国人ツーリストハウス)に住んでいたとき、いつもこのワインを飲んでいた。美味しくて安い。1本なんと500円。
グリーンピースには色々な外国人が住んでいた。合気道に魅せられたイスラエル人、アメリカ人、英会話学校で教えるカナダ人、イギリス人、環境問題に取り組むアメリカ人、日本の美術史を研究するアメリカ人。
中には渡り鳥のように、決まった季節になると日本にやってくる人達もいた。アレキサンダーテクニックを教えるイスラエル人、普段はスペインのマジョルカ島でのんびり過ごす日本人とアメリカ人のカップル。
誰とでもすぐに知り合いになってしまうというシャシャンクの特技のおかげで、これら全ての人と顔見知りになった。夜な夜な飲みながら国のこと、人生のことなどについて話し込んだことも。
渡り鳥派のマジョルカ夫婦に、この安くて美味しいワインを教えてもらった。スペインに居るときも、こればかり飲むのだそうだ。このダンナ(アメリカ人)、ものすごい特技を持っていた。詩をこよなく愛する人で、なんと即興詩のように、韻を踏みながらしゃべれるのだ!(もちろん英語で)それを初めて聞いたとき、意味は分からないものの、韻を踏んでいるということは私にも分かって、まるで魔法を見ているようだったのを覚えている。
この夫婦、短期間日本で荒稼ぎをして、残りの日々はマヨルカ島で仕事もせずに悠々と暮らすというリズムで生きている。マヨルカ島での暮しの一端を写真で見せてもらった。庭でのホームパーティーの写真だったのだが、はじけるように美しい黒人女性が、なんと全裸で庭に座っていた。それも、なんの不自然さもなく、ゆったりと。ふつうに。
日本とはかけ離れた文化の匂いに圧倒された。
このワインとの再会は、京都で出会った色んな人たちの記憶との再会でもある。