2月 20, 2011

路上のうた(つづき)

なぜ私が路上生活者に興味をもつかというと、たぶん私の父にその素質があったからだと思う。母という人がいなければ、父はホームレスになっていたかもしれないと。私もそう思うし、父を知る多くの人がそう思っていたにちがいない。でも、結果的にそうならなったことが、父にとって本当に良かったのかどうか、今となってはよくわからない。

路上生活という想像を絶する孤独の中にあって、犬や猫、その他の動物の果たす役割は大きい。季節の移り変わりなど、自然の風物もそう。故郷を想う気持ちも、ひときわ強いだろう。ホームレス川柳には、そういう心のありようが素朴なことばで歌い込まれていて、味わい深い。こういう川柳で、ホームレス同士が交流できないのだろうかと、ふと考えた。

ふと思いついたその考えをサナギに言ってみた。「この本を、無料でホームレスの人らに配ったらええと思わん?すごい共感できると思し、共感することで辛さも和らぐんちゃうやろか?」

サナギは手厳しい。「そんなん喜ぶわけないやん。こんな本読んで喜ぶのは、かーちゃんみたいに、自分は安全なところに身を置いて、悲惨な生活を上から眺めて優越感にひたるような人だけやで。」

思春期の女の子の言葉は、ときどき鋭いナイフのように心に突き刺さる。そのナイフがまだ突き刺さったまま、もやもやした思いが続いている。

でも、そういうサナギも、この本を学校に持って行って、「この歌、なかなか深いよな~」なんて言いながら、しっかりみんなで楽しんだのだ。...よくわからん。

3 件のコメント:

  1. いたち2月 21, 2011

    路上のうた、怪獣達と読ませて頂きました。
    なかなか奥の深い作品ですね。

    サナギちゃん、なかなか手厳しい(苦笑)
    心の奥底にあるものを容赦なく曝されたような気がして、私もハッとしました。

    その反面、あっさり方向転換してみたり、ホントこの時期の女の子って・・。(笑)

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  2. あははは(笑)思わずニヤニヤしながら読んでしまいました。いいですね、サナギちゃん、好きです。(身に覚えあり、的な・笑)

    母親の思想みたいなものに、(共感は感じながらも、敢えて)反発したくなる時期ってありませんでしたか?私は結構最近までそうだったんですが。
    「かあちゃんの世間知らず!」みたいな(笑)
    私は昔からよく、「かあちゃんの善意は独善的だ!」と指摘し、怒らせていました。

    でも、サナギちゃんの意見、鋭いようでお母さん(白蝶さん)のは、「優越感」とは違うよね、、と僭越ながら。
    どちらかといえば、「路上生活者のリアル」がどうであれ、白蝶さんが「そうありたい(自然と一体化していたい)」という、切なる願いでは、と・・・

    たぶん、サナギちゃんもわかってると思いますけどね。単に反発したかったっていう(笑)

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  3. いたち様

    みんなで読んでくださったんですね!ありがとうございます。

    ほんと、この時期の女の子はわけが分かりませんねー。猫みたいな生き物です。まあ猫は好きですが(笑)


    chu様

    私の母は思想のない人なので、母に対してはそういう経験はなかったかな...父に対してはありましたが。

    >「路上生活者のリアル」がどうであれ、白蝶さんが「そうありたい(自然と一体化していたい)」という、切なる願いでは...

    そうなんですよ!よくぞ言ってくれました!私の場合、優越感というより、まさに「憧れ」のような。彼らの歌の中に、どうしても山頭火や芭蕉みたいなものを見ようとしてしまうんですよね。

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