2月 18, 2011

路上のうた

春のあしおとが...と書いたとたん、連日の雪。めずらしく神戸でも積もった。雪に慣れてない神戸人はもう大はしゃぎ!雪に悩む地域の人にはちょっと不謹慎と思われるほど、みんな気分が高揚していた。

でも、この突然の寒のもどり、辛い思いをした人も多かっただろう。

『ホームレス川柳 路上のうた』(ビッグイシュー日本編集部発行)を買った。

その中から、気に入ったものをいくつか。
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<春のうた>

散る花に 寝床取られる 春の宵  (髭)

春来ても 心の氷(すが)は 融けにくい  (髭)

<夏のうた>

食べ物の 賞味期限は 舌に聞け  (髭)

盆が来る 俺は実家で 仏様  (藤)

<秋のうた>

名月を あおぐ寝床に 蚊がいない  (髭)

<冬のうた>

寒いけど 大地に抱かれ 眠りつく  (藤)

野良猫と 同じ寝床で 暖をとる  (藤)

元旦に 鳩と眺める 初日の出  (草)

陽だまりは ホームレスにも 暖かい  (髭)

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季節をうたったもの、動物をうたったものなどは、やはり野外生活ならではだと思う。夏の間中、やぶ蚊と戦いつづけて、秋に蚊がいなくなったときの喜びをうたった歌は傑作。その生活をした人にしか詠めないうたが沢山載っていて、これまた不謹慎かもしれないけど、すごく面白い。4人の人がうたを載せているのだが、中でも特に、「髭」さんのうたがいい。

住むところも、家族も、身分も、もしかすると名前さえ無くしてしまっても、こういう歌が詠めるということは、きっと何もかも無くしてしまったわけじゃないのかもしれない。付属的なものがどんどん削ぎ落とされていき、人間の「核」のようなものだけで生きているのかもしれない。

わからないけど。

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