6月 24, 2007

町と田舎を結ぶもの

車という文明の利器がとうとう我が家にやってきて、田舎と再び結ばれた。

まずは長年の懸案のお墓参りに家族みんなで行ってきた。車でないと行きにくい場所なのだ。父方の祖先に長年のご無沙汰を詫び、ついでに私は自分の生まれ育った田舎の山と田んぼに再会。ああ、やっぱり私はここの土に育てられたんだと実感した。やっぱり時々こうやって、ふるさとの風景を確認しに来るのはいいもんだなあ。

次に行ったのは、うちから少し行った田園地帯で開かれる朝市。地元の主婦たちが、共同で場所を借り、自分たちが作った野菜を安価で売っている。前から評判だけは聞いていた。でも、これも車がないと行きにくい場所だったのだ。とにかく野菜の味が違うらしい。ひとりひとりが愛情と誇りを込めて、手間暇かけて育てた野菜。しかも安い!野菜中心の我が家には、まさにうってつけ。早速、場所を探して行ってみた。

評判通りの、手作りの、とても感じの良いお店だった。作った人の顔写真と名前が、ひとつひとつの野菜に記されている。中には、私の高校時代の親友のお母さんの名前も!(それは前から知っていた) やはり、親友のお母さんの作った野菜を中心に、人参、胡瓜、茄子、紫玉葱、トマト、キャベツ、ズッキーニ(!)、それから小粒の枇杷など、持ちきれないほどたくさん買って帰る。なのに、安い!これも車のおかげ。

帰って、早速味わってみた。まずは、トマト、茄子、ズッキーニを使って、我流「ラタトゥイユ」(南プロバンス風、夏野菜のトマト煮込み)を作ってみた。いつもはブイヨンを入れるのだけれど、今回はちゃんと味のある野菜たちなので、野菜そのものの持つ「だし」を信頼して、ブイヨンは入れなかった。

果たしてそれは正解だった。もうめちゃくちゃ美味しい!しっかりと野菜からだしが出ている。ひとつひとつの野菜に、ちゃんとそれぞれの個性がある。ああ、なんという幸せ! 胡瓜も、ちゃんと胡瓜の味がして、いつも買っているコープの胡瓜と食べ比べてみたら、天と地ほどの差があった。塩で揉むだけで立派な一品になる。枇杷も大満足の濃い味だった。

大量生産された水くさい野菜・果物しか手に入らない今日このごろ、もう植物本来の個性は味わえないと半ば諦めていた。でも、近くで、ちゃんと滋味豊富な野菜が作り続けられていたのだ。なんと偉大な主婦たちだろう!感謝感謝。これからもずっと続けてほしい。

環境問題への配慮から、というか、それ以前の問題として、自分が自動車免許を持っていないので、これまで車なしでやってきたけれど、こういう喜びを享受するためには、やはり車は必需品なのかもしれない。私もそろそろ免許取ろうかな... あるいは専属の運転手を探すかな...(笑)

果実染め

写真は、もちろん果実とは関係なくて(笑)、ただの、干した布団の中で休むタマジ。表情がもうすっかり大人に。来月はじめての誕生日を迎える。1歳になればもう立派な大人だ。

それにしても、快適な場所を見つける猫の能力には本当に感心してしまう。「布団のトンネル」の中は家の外でありながら涼しくて、風も通って、しかも安全。私も小さくなってタマジの横に入りたい!

さて、いつもチェックするスーパーの「見切り品」コーナー。近ごろ主役は、苺から梅に変わっている。上等な青梅が1kg、300円で出ていたので早速買って帰って、シロップ漬けにした。

梅を洗い、「へそのゴマ」みたいなヘタの部分を取り除いて、いったん冷凍庫で凍らせる。ガラス瓶に、凍った梅と氷砂糖を交互に入れ、何日か置いておくと、濃厚な甘みと酸味と芳香をあわせ持った「梅シロップ」が出来上がる。これを少し薄めて、氷を入れたら、ビタミンたっぷりの梅ジュースのできあがり。これからの季節に最適の飲み物だ。梅に感謝。

それと、今年はもうひとつ新しい果実漬けを作ってみた。これは妹の提案で、結果はまずまず成功。何かというと、家の前の立派な桜の木(たぶんソメイヨシノ)に成った、小粒のサクランボを使ったリキュール作り。作り方は簡単で、桜の実、氷砂糖、ウォッカ(何でもいい)をガラス瓶に入れて置いておくだけ。桜の実は、赤黒く熟したものだけを使う。そのまま食べればかなり苦い。でも、リキュール漬けにすると、苦みが和らぎ、桜の芳しい香りと深い赤紫色がウォッカに移って、素晴らしいお酒になる。そう、ちょうど「桜の精でお酒を染める」という表現がぴったりくる感じ。満足満足。

ちなみに、青虫は、これを「桜ウォッカ」として売り出そう!と言っている。競馬好きにはたまらない記念品になるだろうと。(※競馬好きにしか分からない話題)

ヤマモモが成ったら、こんどはウォッカの山桃染めをやってみたいと思う。

果実酒好きには、今はとてもいい季節。

6月 16, 2007

幼なじみ

                                                                


















3歳まで、田んぼや畑に転がされていた私にとって、この花は、ナズナやオオイヌノフグリなどと並んで、幼い頃からの友達のようなもの。何ともいえない親しさを感じる。小さな私と一緒に何となくそこに生えていて、小さな子の目を楽しませ、美への扉を開いてくれた貴重な花だ。

荒れた草地にしか生えないので、最近めったに見かけないのだが、先日久しぶりに再会した。もう嬉しくて嬉しくて。今も変わらず可憐な姿で咲いていた。

この花に、私独自の名前をつけたいと思う。「ニワゼキショウ」なんて似合わない。さしあたっては、「星草」なんてどうだろう... 咲いた花と丸いつぼみが草むらの中で入り乱れた様子は、まるで夜空で星が瞬いているように見えるから。それに、この花の視覚的イメージは、秋の虫の音を思わせるし、秋の虫の音は、やっぱり星の瞬きを思わせるから。

ついでに言うなら、ナズナは「鈴草」、オオイヌノフグリ(酷い名前!)は「空草」がいいと思う。

なんて。今朝はちょっと浪漫ちっくに始めてみました。

6月 09, 2007

消えていく人参

最近どうも人参の減りが早すぎると思ったら、やっぱりそうだった。乗馬を始めた2人のガキども(青虫とその叔母)が、こっそり冷蔵庫からかすめ取り、せっせと馬たちに貢いでいたのだ!健康に気を遣って、うちではいつも少し割高の「減農薬人参」を買っている。それを、馬の体にもいいからと、勝手に貢いでいたのだった。とんでもない。

猫用にも、なるべく近くで獲れる天然魚や、薬害の少なそうな国産キャットフードを買ったりしてるので、人間と猫だけでも、やたらエンゲル係数が高いところへもってきて、この上さらに馬までなんて絶対に無理っ!(カメちゃんとクワガタは、あんまりお金はかからない)

ということで、今朝は持って行きたいという2人の希望を厳しくはねのけ、人参を守りぬいた。それにしても、馬はほんとに人参が好きで、その執着心たるや、見ていて可笑しくなるほど。猿にバナナ、馬に人参、猫に鰹節、私にきつねうどん... 食べ飽きるということは決してなさそうだ。

6月 08, 2007

高貴な人

先日の朝、いつものように出勤前の顔の塗装を施すべく、駅のトイレに寄った。すぐに空気がいつもと違うことに気がついた。何ともいえず爽やかな香り。空気が清められた感じ。そして、すぐにその理由が分かった。洗面台の隅っこに、小さな植木鉢が置いてあり、そこに私の大好きなスイカズラがひと蔓、丁寧に植えてあったのだ。この何年かで、どんどん好きになってきたこの花。まさかこんな場所で出会えるとは!

私はこれを置いてくれた、誰か分からない素敵な人に、言いようのない親しみを感じた。心から感謝もした。一体だれなんだろう?おそらくは、ここのトイレを掃除する清掃員のおばちゃんか、あるいは、ここを日常のトイレとして使っている駅の売店のおばちゃん、あるいは、駅にひとりだけいる女性職員かもしれない。何にしても、素晴らしい思いつきだ。人知れず、さりげなく、このようなことができる人は、本当の意味で高貴な人だと思う。

切ってきて花瓶に差すのではなく、鉢植えにしてあげているところが、またいい。

※スイカズラ(得も言われぬ強い芳香を放つ蔓性の花。実もかわいい)
http://yuiits.web.infoseek.co.jp/kigonatu/c2/suikazura.html

6月 01, 2007

色っぽい季節

雨が多くなってくるこの季節、何かそわそわしてしまう。というのも、魅力的なものが次々に目に入ってくるからだ。野苺が赤く色づき始め、山桃が実り、スーパーには梅やらっきょうが出回る。でも、なんといっても私にとって一番わくわくするのは、たわわに実った枇杷!お店で売ってる枇杷ではなくて、近所にひとりでに生えた持ち主不明の枇杷の木に、小さなオレンジ色の実がいっぱいなってるやつ。ああ、もういてもたってもいられない、という気持ちになる。

その自生の枇杷の木の実と、お店で売ってる枇杷の実は、別物といってもいいぐらい味がちがう。お店のは大きくて色も形もいいんだけど、味気ない。自生のは小さくて、食べるところがほとんどないのが残念だけど、本当に枇杷の匂いがする。酸味も甘みもびっくりするほど強い。近所の目があるから、持ち主不明とはいえ、いい大人があんまり堂々と取れないけど、でもこの週末あたり、早朝を狙って取りに行こう。楽しみ!

花もすごい。特に匂いの強い花がこの季節、きわだって多いような気がする。薔薇はもちろんのこと、前に書いた蜜柑の花、くちなし、そして私の大好きなスイカズラ。夕方から夜にかけて、これらの花々が妖艶な匂いを放つ。空気には湿気が満ちていて、よく匂いを通すし、なんとも色っぽい季節だ。

最近、マンゴーをよく食べる。日本のは高くて手が届かないから、たいていはメキシコ産のアップル・マンゴー。赤くて大きいやつ。ライチも、最近はメキシコ産のが出回り始めた。台湾のに比べて色は薄いけど、味はなかなかのもの。これら、外国産の果物だけど、なんとなく今の季節によく似合う。

あと、この季節の楽しみは、スーパーの「見切り品コーナー」を覗くこと。たいてい安くなった苺が出ている。それを数パック買って帰って、苺ソースを作る。砂糖を加えて煮るだけ。これを煮るときの匂いがもうたまらない!でも、ちょっと気になるのは、さいきん苺が古くなっても、あんまり傷まないこと。自然の苺ならもっと傷むはずなのに。何か薬でもかけてあるのかな、とちょっと心配になる。

何にしても、梅雨に向かうこのじめじめした季節は嫌いでない。というか、むしろ大好き。