まだ暑い日もあるけど、季節は確実に変わっていっている。
大阪の御堂筋沿いのイチョウの木には、もう黄色い銀杏の実がたわわに実っているし、家の近所では萩も咲いている。田舎に行けば、きっと彼岸花が赤く色づき始めているだろうと思う。夜に聞こえてくる虫の合唱は、もうメンバーがすっかり秋の歌い手に変わっているし、タマジも前足を身体の下に折りたたんで「香箱を作る」ようになった。これだけ証拠が揃ったら、もう秋だ。
昨夜は中秋の名月。ベランダで、みんなで拝んだ。みんなというのは、母、サナギ、私、それから、タマジ、カメちゃん。お供えは塩で味をつけただけの月見だんご。ススキが無かったから、ベランダに植えた猫草が成長しすぎたもの(ちょっとススキに似た穂が出ている)で代用。あとは、里芋の入った団子汁。白味噌仕立て。
肝心のお月さんは、薄い雲がかかっていて、何だか鈍い色の顔料で空にささっと描いたような、あるいは、「お月さんのシール」を空に貼りつけたような、立体感の乏しい、冷めた満月だった。
それとは対照的に、ベランダでは、タマジとカメちゃんが大はしゃぎ。
カメちゃんは、最近、気が向いたら自分で水槽から出てきて、好きなときにまた水槽に帰るようになっている。出るときは、出るというより落ちる感じ。「ゴツン!」という鈍い音が聞こえたら、カメちゃんが水槽から出た合図。帰るときは、水槽に立てかけた水槽の蓋を、梯子のように登って行って、水槽の中に「ぽちゃん」と落ちる。なかなか頭のいい子だと、最近ちょっと見直している。
珍しく、人間が全員ベランダに出て、しかも食事なんかしているので、カメちゃんは水槽から出てくるし、タマジも調子に乗って、ベランダを走り回る。そのうちタマジはヤモリを見つけて追いかけ始め、カメちゃんと、タマジに追われて逃げ回るヤモリが、猛スピードでベランダを這い回る。暗くてよく見えないため、人間組は、それらを踏まないようにするので必死。何だか忙しい夕食になった。
月は、その後、雲を抜けて、ほんのひととき煌々と輝き(ちょっといつもより赤いような気がした)、その後また雲のベールを纏って冷静に登っていった。
朝、起きてみると、ベランダには蟻の黒だかり。昨夜のヤモちゃんだ。かわいそうに。でもこれ、数日間そのままにしておくと、蟻が撤退した後、ヤモちゃんは綺麗に白骨になっている。いつも感心するのだが、蟻ってすごい。
お彼岸まであと少し。
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