12月 14, 2007

一瞬の輝き

柘榴(ザクロ)の季節。夏に鮮やかなオレンジ色の花を咲かせていたのが、今、これまた鮮やかな真紅の実を実らせている。どうしても食べたい。でも、残念ながらどの柘榴も誰かの家の庭木。盗むわけにいかない。

それで、しかたなくお店で買った。カリフォルニア産。物心ついて以来、初めてザクロを食べる青虫は、もう大喜び。一粒一粒ちまちまと、実をはずして食べた。私も大好き。何より色がいい。まるでガーネットを食べてるみたい。いや、ガーネットは日本名「ざくろ石」だから、逆か。

毒々しくて、ちょっと「血」のような雰囲気も持っている。それもまたいい。吸血鬼か何かになったような気分で、残酷に、荒々しく貪る。

この果物は、他のどんな果物にも似ていないのがいい。青虫が、「ザクロって、たぶんザクロ科ザクロ目ザクロなんやろな」と言った。事実、ザクロは独立した科に分類される。

それにしても、国産の柘榴が食べてみたい。その辺にいっぱい成っているのに... 気候的にも問題ないみたいだし、味もいいのに、なんで柘榴は商品化されないんだろう?

ところで、先日、ある人から私の撮る写真がなかなかいい、と褒めてもらったのに気を良くして、何となく「写真家の目」で風景を眺めつつ朝の通勤電車に乗っていた(単純!)。その日は空気の澄んだ、秋晴れの、朝日がきらきらした日だった。

電車がちょうど芦屋あたりを通り過ぎるとき、線路のそばの家の庭に生えた1本の大きな柘榴の木が見える。今ちょうど、その木に柘榴がたわわに実っている。その柘榴の実が、そのとき、まさに朝の太陽に照らされて、この世のものとは思えないほど美しく輝いていた。息が止まりそうなほど美しかった。

「写真家」の私は、これだっ!と思った。この一瞬。この輝き。こういうのを捕らえなければ!でも、その瞬間、すぐにそれは無理だということも分かった。その美しさを作り出した全ての条件を、もう一度揃えることは不可能だと悟った。この季節、この天気、電車の窓から見るというこの状況、温度、湿度、そして何より、上機嫌だった私の気分。これら全てが揃わなければ実現しない「美」なのだ。再生不可能。

生きることすべてが、きっとこんな感じなのだ。一瞬一瞬を大切に味わおう。

...なんか、あまりにもありふれた結論だけど(笑)。

12月 02, 2007

柚子がいっぱい!

母のお客さんから 柚子をいっぱいいただいた。住む人のいなくなった徳島の実家の庭に生えている柚子らしい。放っておいても、こうして毎年、健気に実をつけるのだそうだ。だから完全無農薬。太陽と雨と土だけに育てられた自然の恵み。決して無駄にはしたくない。そこで、果汁だけじゃなく、皮もパルプも全部使うことにした。何にしよう?マーマレード?それもいいけど、今年はオレンジピールならぬ、「ユズピール」に挑戦してみよう!
ということで、さっそく果汁を搾り取った。これは冷蔵&冷凍にして、鍋物や、サラダ、タイ料理の味付けなどに使う。柚子26個から、とれた果汁はごくわずか。ほとんどが皮と種なのだ。やっぱり皮を捨てたら勿体ない。柚子は捨てるところがないという。果汁はポン酢に、皮は料理の香りづけに、種は焼酎に漬けて美容液になるらしい。ということで、一応、種も置いておく。

皮をさらに、表皮とパルプ(薄皮と果肉の絞りカス)とに分ける。パルプの部分にも、繊維やわずかに残った果汁など、いろいろ栄養が詰まっていそうなので、捨てずに使う。砂糖で煮て、ペースト状にしよう。少し表皮も入れて。そして、今回のメインプロダクトである「柚子ピール」!こんなにたくさん材料がとれた。これを砂糖で煮詰めて、天日で乾かし、グラニュー糖をまぶせば、できあがり。「ざぼん漬け」みたいなものだ。

「陳皮」という漢方薬が風邪に効くように、きっと柑橘類の皮には何か風邪の予防になるようなものがあるに違いない。冬の間せっせとこの柚子ピールを食べよう。マーマーレードやオレンジピール・レモンピールなど、酸味・苦味が大好きだ。完成が楽しみ!

部屋の中は柚子の皮を炊く香りでいっぱい!気持ちいい。今日もその作業のつづき。今日は炊きあがった皮を天日に干す作業。いかなごのつくだ煮作りといい、こういう果物を加工する作業といい、こうやって、自然の恵みを、じっくり加工して保存食を作る作業は、私の何よりも好きな作業だ。こういうことをしているときが最も自分が「生きている」と感じる。

12月 01, 2007

桜の紅葉

大家さんちの桜。私は紅葉のなかで、桜の紅葉が一番きれいだと思う。今年は特に素晴らしい。