でも、畑ではもうコウロギの子どもが姿を見せているし、ウマオイも鳴いている。鈴虫の声も聞いた。季節はいつしか着実に秋にむかって進んでいる。
夏野菜の名残がまだとれる。ズッキーニ、きゅうり、オクラ。いつまでも畑に生やしておくと、畑のおっちゃんに怒られる。早く片付けて、次の冬野菜の準備せなあかん!と急かされる。でも、初めてのことだし、じっくりと野菜たちがどうやって朽ち果てていくのか見てみたい気がする。ほんとなら、そうやって朽ち果てるときにタネを落とし、放っておけば来年また同じ場所に胡瓜やオクラが生えてくるのだろう。そして、それらが自然に生えてくるときが、おそらく植え時なのだろう。そんな風な野菜作りはできないものか。そんな悠長なこと、やっぱり無理か。
この猛烈な暑さのせいか、最近よくものが腐る。先日は大量に作っておいた夏野菜のカレー、まだ誰も食べないうちに表面が腐っていた。朝、ちゃんと火を入れていたのにもかかわらず、夜帰ったときにはそんな状態だったのだ。あまりに悔しいので、表面だけ削って火を入れなおし、せっせと残りを食べている。お腹をこわすかと思ったけど、何ともない。我ながら強いお腹だと思う。他の人は食べてくれない。ま、いいけど。
そして今日も、ものすごく危険なものを食べた。
母もサナギも出払って、ひとりきりの昼ごはん。ひとつ自分だけの特別メニューを作ってやろうと思い冷蔵庫を見たら、早急に処理すべきもの発見!
1. ドライトマトのオリーブオイル漬け:この前作ったやつだが、焼き方が浅かったのか、
ちょっと発酵し始めている。つまり腐りかけ。なんか発砲性のものになっている。
2. イギリスの高級チーズ:知人にもらった。青かび系のすんごい匂いのするやつ。
食べるとちょっと舌に刺激がある。粉チーズが苦手な人は卒倒しそうなチーズ。
それがちょっと残ったまま、いつしか数ヶ月(!)が経ってしまっている。
主に危険そうなのは上記2つ。これにニンニクのみじん切り、育ちすぎた自家製ズッキーニのスライス、古い雑穀パンをちぎったもの加えてフライパンで炒めてみた。
なんか非常に危ない香りがする。特に高級チーズ、ものすごく高級なイタリア料理店で香っていそうな匂いといったらいいのだろうか、ちょっと近所に申し訳なくなるような匂い。匂ったことないけど、もしかすると「くさや」って、こんな匂いなのかも...みたいな。ドキドキしてくる。
でも、見た目はなかなか美味しそうなものができた。スペインでは、残り物のパンで焼き飯ならぬ「パン炒め」を作るらしい。ミガスというそうな。何となく、それっぽいものができた。ベランダからとってきたバジルの葉っぱをたっぷり入れて、スペイン風パン炒めの出来上がり!
名付けて、「ドライトマトとズッキーニのスペイン風パン炒め」 |
しかし、これはスリル満点。死んだらどうしよう...と思いながら、思い切って食べてみる。
こ、これはっ!美味い~!しかも、このチーズの匂いが効いているではないか。ドライトマトを漬け油ごと全部入れたので、けっこう油っこいけど、その油がパンに滲みてパンがめちゃくちゃ美味しくなっている!ま、死んでもいいか、美味しかったし。
こうやって廃材で偶然美味しいものが出来上がるとめちゃくちゃ嬉しい。かくして、ひとりきりの昼ごはんは、往々にして秘めごとのような、人体実験のようなものになる。そうやって色んな細菌を腸内にたくわえて、少々のバイキンでは死なない体を作っていくのであった。(そのうち本当に死ぬかもしれない)
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関係ないけど、最近おもしろかったこと。新しい単語をなかなか覚えられないお年頃の母。「万願寺とうがらし」のことを、いつも「観音寺ピーマン」と言ってしまう。まあ雰囲気は伝わるからいいけど...(笑)
久しぶりに拝見させていただきました。とても楽しく力をいただきました。こちらもそろそろ日常を取り戻すべく、更新していこうと思っています。
返信削除ありがとうございます!
削除心身ともに大変な日々をお過ごしだろうとお察しします。おだやかな日常というものは当たり前のものとしてそこにあるのではなく、そうやってみんなで力を合わせて取り戻すものなのでしょうね。本当に偉いことだと思います。
日記の更新、楽しみに待っています!