10月 07, 2008

手で開けられる窓

昨日あたりから、空気にキンモクセイの香りが混じり始めた。

電車は、いまちょうど冷房と暖房のはざま。昨日の朝乗った電車は、エアコンはストップしてあり、換気もされていなかった。でも、車内は満員。けっこう蒸し暑く、乗っているうちに、だんだん蒸し風呂状態に。みんなもう衣替えしていて、すっかり秋の装いなので、暑いこと暑いこと!上着を脱ぐ人、夏の名残りの扇子を出してきてあおぐ人、車内に乗客たちの不快感が充満した。こんなとき、ちょっとでも窓が開けられたらと思い、どこか開けられないか見渡してみたが、全部「開かずの窓」。

ちょっと前までは、電車の窓は自分で開けられた。あまりに蒸し暑い日など、気の利く人が少し窓を開けてくれたりした。ところが、今の車両はどうだろう。だいたいが窓の開かないタイプ。機械仕掛けで開くのかもしれないが、少なくとも手動では開けられないようだ。

でも、もしシステムの不具合などで、エアコンやドアの開閉装置が壊れたらどうなるんだろう。それが、もし真夏だったら。どんどん暑くなる満員の車両の中で、熱中症の人も出るだろう。あるいは、車内で毒ガスが発生したらどうなる?そんなとき、手動で開けられる窓がなければ、本当に命取りになる。そんな状態を想像しただけで恐ろしい。

窓を開けて過ごすということを想定しない空間が多すぎる。オフィスビルもそう。電車もバスも。そんなにエアコンだけに頼って大丈夫なのだろうか。機械類は必ず壊れる。「手動」あるいは「人力」という部分を危機対策として残しておかないと、機械が壊れた時、ぜったいに危ないと思う。

閉じた空間ほど怖いものはない。と、今回の個室ビデオ火災でも思った。なんでも、元あった窓を改装時にふさいでしまったらしい。とんでもない!

昨日家に帰るときに乗ったバスは、窓が全部開いていた。古い型の車両で、きっと乗客が開けたのだろう。窓からキンモクセイの香りの風がたっぷり入ってきた。ああ、これだ。この風が欲しかったのだ。

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