あけましておめでとうございます
去年はサナギが中学に上がり、時間的に余裕ができたにもかかわらず、特に何をするともなく過ぎていった。今年はひとつ、自分の将来を見据えて、その方向づけとなるような活動を始めたいと思う。具体的にはまだ見えていないけど、これまでもそうだったように、絶えず求めていると、そういうものは何か突然向こうからやってきてくれると思う。それを見逃さないようにしっかりアンテナを立てていよう。
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京都加茂川のユリカモメ |
去年はけっこう本を読んだ。エンデの『モモ』に始まり、数学者の藤原正彦、あさのあつこ。あさのあつこには随分はまった。そして、年末に集中的に読んだ岸恵子のエッセイ。
女優の書いたものを読むなんて、私にしては珍しいことなのだが、ふと出会った岸恵子の作品は、なぜか自分にしっくりとなじみ、意外にも意気投合してしまった。実は、この人の映画やドラマは見たことがない。でも、文章を読むかぎり、ものすごく頭の切れる人だと思う。何でも、若い頃は作家志望だったとか。
色々と共感できることがある。港町出身者特有の冒険心や好奇心。まずとにかく動き出して、あとから考えるという性格。外国というものへの抵抗のなさ。外国人との結婚、離婚。その離婚のときよりも、のちに彼に死なれたときの方がよっぽど辛かったこと。ユダヤやイスラムといった、世界のややこしい問題へのストレートな関心。
でも、何より私が共感を覚えたのは、彼女が常に抱いている独特の孤独感。彼女はそれを「アンコミュニカビリティ」(=incommunicability)と呼んでいるが、それは決して悲壮な感じの孤独ではない。むしろ反対にある種の温かさへとつながるものだと思う。人と人との意志の通じなさ。女手ひとつで大切に育ててきた娘とさえ、心の奥底は共有できない。本当はみんなひとりぼっち。そういうことを承知した上で、人と交わり、楽しみながら生きていくことの味わい深さ。人間のほんとうの姿を勇敢に、しっかり覚悟している人なのだ。孤独を味方につけた人は強い。
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賀茂川の白鷺・アオサギ・ユリカモメ・鴨 |
やはり戦後の貧しさ、悲惨さを経験した人は強いと思う。かといって、ああいう悲惨さを無理やり経験することもできない。芯のしっかりした人間が育ちにくい社会だと思う。でも、いつどんな状況になっても生きていく覚悟だけは今の人にもできると思う。
草木にしろ、鳥にしろ、動物にしろ、独力で生きている野性の生き物の美しさといったらない。生きている間に、自分も、少しでもそれに近づけたらと思う。
何かちょっと力んだ念頭の挨拶になってしまいましたが、それは、自分のこの怠惰な年始のありさまの反動で...(笑)本当に気持ちが引き締まった人は、こんなこと、わざわざ言葉にしないんだろうなと思いつつ...
何はともあれ、今年もよろしくお願いします。